この詩はリズムがいい。頭に残る詩である。声に出して言いたくなる言葉の集まりである。私はふとした時に、「時こそ今は」と口に出している。意味は気にしていない。
「時こそ今は花は香炉に打薫じ」と声に乗せることで、音の響きと舌の動きを楽しんでいる。
「いかに康子、いまこそは」も口に出して言いたくなる。身内に康子がいるからだと思っている。私と私のやすこは呼び捨てを許される仲ではないけれど。
加えて、「いかに」という単語が好きだ。「こはいかに(これはどうしたことか)」を見たときに、なぜか絶対覚えてやろうという気持ちになり今でも「いかに」と聞くと「こはいかに」を連想する。「いかに康子、」と康子さんに語り掛けているような雰囲気がきっと好きなんだと思う。あと、句点「。」で終わっていないところも気に入っている。
時こそ今は・・・・・・
時こそ今は花は香炉に打薫じ
ボートレール
時こそ今は花は香炉に打薫じ、
そこはかとないけはひです。
しほだる花や水の音や、
家路をいそぐ人々や。
いかに康子、今こそは
しづかに一緒に、をりませう。
遠くの空を、飛ぶ鳥も
いたいけな情け、みちてます。
いかに康子、いまこそは
暮るる籬や群青の
空もしづかに流るころ。
いかに康子、いまこそは
おまへの髪毛なよぶころ
花は香炉に打薫じ、
2023/09/04 23:31